続続・よいこの1日  -

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05

07

21:59
Tue
2013

No.0573

知己

CAI_0001 (2)

早朝散歩をサボっていたG.W.の間に
ご近所の桜の木のうちの一本がサクランボまみれになっていた。
ツヤがあって非常においしそうに見える。
しかしこの木の所有者は特段、興味がないのか、
木の下には無数にサクランボが落ちており、
まだ木に実っているものもムクドリがやってきては
小突きまわしては食べまくっている有様である。


それならばこのワタクシめも・・・
と、言いたいところではあるがこの木と私の間を
小さな土手とドブ川が隔てており近づくことすらできない。
「徒然草」の「神無月のころ、云々」という段の最後の一節、
「この木なからましかばと覚えしか」という箇所を思い出したり
大昔のNOVAのCM、"I wish I were a bird!!"というセリフを思い起こしたりしつつ
ムクドリがジェージェー鳴きながらサクランボを啄ばむ様子を眺めていた。


「これはサクランボかしら。」
と、背後から老婦人が声をかけてきたのはそんな折である。
彼女も私と同じくこの川沿いの道をお散歩コースにしているらしい。
「ええ、先月この木はサクラが咲いていたと思うのできっとサクランボですよ。
葉っぱもサクラの葉っぱですもんねぇ。」
「ええ、もちろんそれはそうでしょうとも。
でもこのサクランボ、あまりに小さいではありませんか。
あらあなた、この家の方じゃないの?」
「いや、おいしそうだからただ見ていただけです。」
そう答えると、老婦人はなんだかがっかりした様子で「あら、そう。」と言った。
「でもこのサクランボ、スーパーで売っているのより小さいじゃない?
おいしくないんじゃないかしら。それが一番の謎だわ。」
田舎の道の駅ではこれくらいの大きさのサクランボ売ってますよ、
という言葉は飲み込んだ。
話し方も何だか垢ぬけているしもしかしたら都会の人なのかもしれない。


この木の所有者がなぜたわわに実ったサクランボを食べないのかということについて、
相談に相談を重ねている我々の頭上を飛行機が一機、飛んできた。
やけに低い所を飛ぶんだなと思いながら再びサクランボ談義に意識を戻すと、
老婦人が突然、話題を変えた。
「あらやだわ。この飛行機、やけに低くない?近くに空港もないのにね。
周って飛びながら着陸待ちでもしているのかしら。」
ああ、何だかこの老婦人とは気が合いそうだ。
そんな事を考えながら、今度は飛行機が我々の頭上をなぜ低く飛ぶのかについて
二人で知恵を振り絞ることにした。


結局、サクランボについては、美味しいのか不味いのかは不明だが
所有者にしてみれば毎年の事なのでどっちにしても興味がない。
飛行機については、たまには飛行機も低く飛ぶものだ。
という極めて曖昧な女性的な結論に至り、談義は終結した。
そして各々の帰る方向へと歩き出したのだが、
私は去り際に老婦人が言った言葉が忘れられない。


「ごめんなさいね引き留めて。私、ヒマだからいつもこんな事が気になるのよ。
サクランボとか飛行機とか。いつもそんな事を考えて歩いているのよ。ヒマだから。」


最後の最後までまったく同感である。
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