続続・よいこの1日  -

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02

23:26
Tue
2010

No.0479

ビルマ記 23.JAN.2010

IMG_3290.jpg

白い象は空港からヤンゴンの市街地へ行く道中にいる。
との情報を得ていたので私は、
なるほど。ならば空港でタクシーチケットのカウンターを通さずに
直接ドライバーに掛け合って、白い象に会ってからホテルに送ってもらえばいいじゃないか。
と、安易に考えており、詳しい地名やなんかはまったく知らないままに
意気揚々とヤンゴンの地を踏んだ。

こじんまりとしてはいるが思いの外キレイな空港を出ると
「TAXI? TAAXII?!」
と、他国の空港前と同様にドライバー達が寄ってきた。
違うことと言えばドライバー達がスカート?を履いていることくらいか。

一番先に声をかけてきたのは、さっきまで出血していたのか痛々しい程に唇の赤い青年である。
人相は悪くない、むしろとても人の良さそうな青年だ。
が、その唇は大丈夫なのか。
リップクリームでもあげたいくらいである。

気にする素振りもなく彼は「ドコ、イクノー」とか言っているので
とりあえずホテルの名前を告げると、「よしわかったレッツゴー」と荒れた唇で笑った。
あまり笑うと裂けますよと心の中で忠告しながら、
ところで、白い象がいると聞いたがどこにいるか知っているかと尋ねてみた。

「…… white....elephant?」

ナニソレみたいな顔をした彼の動きが止まった。
うん、そう。と、当然のことのように頷いた私に彼はエーとかアーとか言いながら、

「…… white....elephant?」

と、もう一度聞いた。
彼はとっても困っているようだった。
いきなり空港から出てきて何言ってるのこの娘、頭イタイんじゃないのみたいな顔つきである。

私は急に恥ずかしくなった。
不確実な情報なのに、ビルマの人なら誰でも知っているものと思い込み、
胸を張って白い象はどこだなんて聞いたけれども
あの情報はもしかすると何年も前のものだったのかもしれない。
白い象はもうこのヤンゴンにはいないのかもしれない。
このドライバーは白い象の居場所を知らないのではなく、
“わざわざ日本くんだりからやって来たこの娘、いつの時代の話をしてんだよ。”
なんて思っているのかもしれない。

強い日差しの下で考え込んでしまった私に、荒れた唇の青年は
「ホテルに行くのではないのか」と慰めるように聞いてきた。
そうだ。ホテルにも行かなきゃ。ていうかこんな所で考え事してたら暑いし。
顔を上げて青年に、ホテルへ送ってと伝えた。

乗り込んだ青年のタクシーには、窓がなかった。
給油メーターもスピードのメーターももちろん壊れて機能していなかった。
が、一人前にタクシードライバーの身分証みたいなものは顔写真付きでちゃんと貼り付けてあった。

さて、私は白い象がもはやヤンゴンにはいないという事実に多大なるショックを受けている。
この旅の一番の目的が白い象だったのだから当然であろう。
じゃあヤンゴン市内を散策してみようみたいな気でも起こればまだマシだが、
ホテルも旅程もマイケル氏に任せており、かつ既に氏がすべて手配済みのため、
後は今晩、氏が来るまでの半日のみしか私に残された探検の時間はない。
しかも白い象さえ見られればそれでいいと思っていた私は
ヤンゴン市街地について何の下調べもしておらず、地図もない。
ああ、遥かなるビルマまで私は一体何のためにやって来たのか。
行けば象には必ず会えると信じて疑わなかった自分の奢りを心底後悔した。

そんな私の気も知らず、唇の荒れた青年は
自分の国はとても貧しい国であると事あるごとに連発し、
ぎゅうぎゅうに人の乗ったバスが通るたびに指さして「ほらね」と言った。
彼はまた、「日本語にとても興味を持っているんだよ」とも言った。
象の不在から立ち直れない私が、ただ「ふーん」とだけ答えると、
「僕はとっても日本語に興味があるんだよ」ともう一度言ったので
打ちひしがれながら私ももう一度「ふーん」と答えた。

彼は苦笑いしながら、今度は名前を尋ねてきた。
babarであると返答すると、「僕の名前はここに書いてあるぞ」と言いながら
タクシードライバーの身分証みたいなものを指さした。
うなだれながら身分証に目をやり、何て読むのかと尋ねると、
なんだか長い名前を言われたのでどこからどこまでが名字でどこからどこまでが名前なのかと聞くと
「僕達には名字はない。これは全部名前だ」と言った。

そうこうしているうちにホテルに到着。
お金を払おうとすると、青年はヤンゴン観光に自分を雇ってくれと打診してきた。
タクシーで観光だなんて滅相もない話であると首を横に振りかけたが、待てよと思い直す。
私には地図もなければ時間もない。
また、氏が手配してあるこの後の旅は、飛行機での長距離移動、ドライバー&日本語ガイド付き観光、
清潔なホテルと豪華な内容になっており、
そんな中で半日だけを$5や$10ケチった所で大したコストダウンにはなりそうにない。
しかも一番重要な事は、実質3日の弾丸旅行でケチるべきは時間であって費用ではないという事である。

と、言うわけで、ヤンゴン観光を夕方までこの青年にお付き合い頂くことに決めた。

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