No.0492
ビルマ記 寺院巡り

たった半日だけのバガン観光で一体いくつの寺院やパゴダを巡ったことか。
バガンの町には、名もないものから有名なものまで、
無数とも思われるくらいにたくさんの寺院やパゴダが惜しげもなく建っている。
そしてその中には100年も200年も、いやもっと前の仏像や壁画が残っていたりする。
同じように見えても建物の様式や素材が時代によって違っていたり、
仏像も古いものはインド人に似ているが比較的新しいものになるとビルマ人の顔になったりと
これだけ次々に寺院ばかり巡っても飽きることはないのである。
たまに登ってもよいパゴダなんかもある。
狭く急で、かといって足元ばかりに気を取られていると
天井に頭をぶつける恐れのある非常に不親切な石の階段や、
もはや階段などという代物ではなく
ただの凸凹した外壁かと思えるような石段を必死の形相で登ってゆくと、
そこには、荒れ地が霞んで見える遥か彼方までぽこぽことパゴダが角を出している
桃源郷のような光景が広がっているのである。
こんな素晴らしい景観が臨めるバガンだが、残念なことに世界遺産の認定を受けることはできなかった。
ガイド氏の話では、昔のビルマ人達には歴史的な建築物や壁画なんかの修復をする知識がなく、
昔の様式や素材を無視して勝手に直してしまったり、汚れた壁を掃除しようと石灰をかけて磨き、
貴重な壁画をきれいさっぱり消してしまった、
消してしまった壁画の一部は復元作業を行ったものもあるが、
全ての壁画を復元するには多大な時間と費用がかかるため、なかなか作業は進んでいないのだそうだ。
また、政府によって道路が作られたり近代的な建物が建てられたりしたこともあって
世界遺産への登録は叶わなかったらしい。
が、これ以上貴重な歴史の遺産を損なわぬよう現在では専門家達の指導のもと、
現状維持に尽力しているのだと言っていた。